押しボタン再び

以前、交差点の押しボタンについて話題にしたことがある。別パターンの表示に気が付いたので再度話題にする。今回気が付いたのは次の表示である。

ボタンの使用目的は明解である。歩行者用の青信号の点灯時間を延長するボタンである。ボタンの上のアイコンを見れば車いすを使用する人や杖を使用する人のためであることもすぐにわかる。誰のためなどと考える必要もない。筆者のようにテクニカルライターを自負する者にとってお手本になる説明である。他にも似たものがないか調べると田町駅前の信号に次の表示があった。

田町駅前の表示

Pressを動詞として読めば英語もわかりやすいように思える。ネイティブに意味がわかるか問い合わせたら、分かると言ったので英語はOKである。(ホントのところ作った側はPressを名詞として使っているのではないかと筆者は推測する。)ボタンのアイコンも最初に示したものと同じである。

これらの2つはよい例である。ある意味お手本にすらなるものである。しかし、さらに探すと、穴八幡の前の交差点で何か言わねば気が済まぬものを見つけた。

表示は前回話題にした「押しボタン」を「タッチスイッチ」に変えただけのものである。しかし、新しいのに前のものよりよくないと思ったのである。スイッチ部分の拡大写真を次に示す。この形状では、どの部分がタッチスイッチなのか目の不自由な人には分からないのではないだろうか。目の不自由な人には色の違いは分からない。よく似たサイズの盛り上がった角の丸い四角のでっぱりが2つあるが、触っただけでは区別がつきにくいと思われる。筆者にはこれが目の不自由な人のことを配慮したデザインとは思えない。

また、タッチスイッチの下に「目の不自由な方 専用」と書かれている。当然これは読める人(すなわち目の不自由ではない人)向けのメッセージと考えられる。このメッセージは、間接的に、読める人に対してタッチすることを禁止している。では誰がこのスイッチを使えるのであろうか。タッチを許されるのは目の不自由な人だけである。その中でこのスイッチの存在と構造を、前以て誰かに教得てもらった目の不自由な人だけがこのスイッチを活用できるのである。

屁理屈だと思わないでほしい。このような人の安全にかかわる公共物は細かい配慮をして作ってほしいという筆者の願いを書いただけである。