情報不足だ

とあるスーパーのワインコーナーで次のようなワインの値札を見かけた。2つの値札は以下のように密接して並べられていた(メーカ情報は塗りつぶしてある)。

ワインコーナーの値札

左のチャートを拡大したのが次である。

甘辛の表示を見ると左の赤ワインはX軸に表示されているのに、右の白ワインはY軸に表示されている。これが問題であった。私は辛口の白ワインが好きである。2つの値段表が並んでいるときにはまず左から見てしまう。左の表示を見て辛口は星が右にあると思いこんでしまう。右の表示に目を移すと、星の位置だけを見て、白ワインは中辛口と判断するわけである。辛口ではないので次のボトルに目が移るのは自然であろう。これは店にとっていいことなのであろうか?

別の白ワインのチャートが次である。

白ワインのチャートは同じ形式である。このチャートを見てわからないことが生じた。「やさしい」とか「キレのある」という表現が何を表しているのかがわからない。一見優しい言葉だがこれだけでは正確には伝わらない。一般に、赤ワインはまずフルボディ(重い)かライトボディ(軽い)かで判断し、白ワインは辛口か甘口かで判断するといわれる。だから、赤ワインの縦軸がボディの重さを表していることは想像できるが、白ワインの「やさしい」が何を表すのかについては想像できない。

正解は次のとおりである。上記のワインではないが、別の場所で見つけた初心者向けのボトルの表示を見ていただきたい。

赤ワインのボトル上の表示
白ワインのボトル上の表示

どちらも分かりやすい。私はこの表示を読んで初めて前記の白ワインの表示の横軸が「酸味」であることがわかった。つまり、前期の値段表には必要な情報が欠けているのである。文字数を削減して読みやすくしようとするのはいいことであるが、必要な情報まで削減してはダメである。ワインの製造者が必要な情報を的確にユーザーに届けているのは素晴らしいと思う。

情報不足というより必要な情報を隠してしまった例が次の写真である。

ある店舗の電子決済端末の写真である。これと同じものが10台くらい並んでいる。筆者は交通系電子マネー(SUICA)で決済しようとして、上のガイドに従って電波のマークを探したが見つからなかった。下のシールで電波のマークが隠されていたからである。「マークにスキャン」という表現は引っかかるが、ここで問題にしたいことではない。上のガイドは最初から端末に表示されていたものであり、下のシールは店舗で貼ったものだと思われる。シールの「下のマーク」は矢印の方向を探しても見つからない。「下」は「シールの裏側」の意味であった。これはシールを貼った人を含めた一部の人だけに分かる表現であろう。かなりの人は「下」は矢印の方向と考えるのではないだろうか。スキャンという表現がわかりにくいので店舗でシールを貼ったと思われるが、マークを隠したので、どっちもどっちの結果になってしまった。「電子系交通マネー」という表現はご愛敬である。

情報不足という意味では次の電車内ポスターにも問題がある。「免疫機能は40歳から低下する」という内容のポスターなのだが、そこに描かれているグラフがこれである。

電車内ポスターより

縦軸の免疫機能が%で表されている。このようなグラフを作るときには基準となる年齢の免疫機能を100%として描くのが標準的である。このグラフには100%が記されておらず、基準となる年齢もわからない。右上に20歳と書かれているのでこれが基準となる年齢とも解釈できる。いずれにせよ、免疫機能の年齢による変化を表すだけなら縦軸に数値を書かないほうがいいのである。

もしかすると、元原稿のグラフは下のイラストのように変化を表すだけで%値は記入されていなかったかもしれない。たまたま、縦軸の長さが20歳の値が40%に見える長さだったかもしれない。

勝手な想像ではあるが、ポスターの制作者が気を利かせて%値を追加した可能性もある。良かれと思ったことが余計なお世話になったのかもしれない。