使いにくい!

数字を入力するテンキーの配列と言えば、一般的には電話配列と電卓配列である。

電話配列のテンキー
電卓配列のテンキー

長年使っているのでこの2つの違いに戸惑うことはない。どちらも自然に入力することができる。ところが、とんでもない配列のテンキーが町中に普通にあることに気が付いた。次の配列である。

使いにくいテンキー配列

電話配列にしろ電卓配列にしろ左から右に数字は大きくなっているのだが、この配列は右から左に数字が大きくなっているのである。非常に入力しにくい。5の次に6にタッチしようとするときに指は自然に右へ動いてしまう。そこに6はなく4がある。イラッすることこの上ない。

実は、これはSMBCのATMの暗証番号入力時のテンキー配列である。テンキー配列がランダムに選択されるシステムで、ときには次のような配列も表示される。

いっそここまで電卓と違うと、配列を意識して操作するのではなく個々のキーを見てしまうので、上の配列ほどイライラしない。このようにランダムな配列を表示するのは、SMBCが設計者にそれを望んだのかATMの製造メーカーが自主的にそうしたのかは不明だが、理由はセキュリティである。後ろから指の動きを見て暗証番号を読み取られるのを防ぐためなどの理由である。しかし、そのような高度な読み取り技術を持ったあやしい人がATMの後ろからのぞき込む確率はとても高いとは思えない。さらに、私がいつも使うATMでは他人の操作中に後ろに並ぶことはしないという暗黙のルールをユーザーが自主的に守っている。ATMボックスのドアの外に列を作るのだ。セキュリティに対するユーザーの意識は高くなっている。

じつはこの話には次のようなオチがある。ランダムのキー配列が表示されるときの画面全体は次のとおりだ。

この記事を書くに当たって画面を撮影しているときに気が付いたのだが、「電卓並びに変える」というボタンが配置されている。しかし、数え切れないくらい操作したのに、このボタンに気が付かなかった私がいるのである。UI設計者は私のようなユーザーの行動が予測できなかったわけである。

このボタンにタッチするとご丁寧に「周りに怪しい人間がいないか確認するように」というようなメッセージが出て、もう一度、確認操作を求めてくる。それなら最初からそのメッセージを表示して電卓配列で表示するほうがよほど親切である。私のような人がイライラすることもない。さらに、暗証番号の入力を複数回間違えると口座がロックされると記憶しているが、誤入力を誘導するようなUIはいかがなものだろうか。サービスエクセレンスの考え方が全く導入されていないシステムだと言いたい。

ちなみにみずほ銀行も次の例のようにランダム配列表示である。

MUFGは最初から電卓配列表示のみである。銀行の良しあしの判断はこれだけでできるものではないことは皆さんご承知のとおりである。今回は、ランダムなテンキー配列表示は非常に使いにくいと言いたかっただけである。