エスカレーターは無法地帯?

今日は街で見かける安全標識について話したいと思います。

デパートや駅などにあるエスカレーターにはいろいろな安全標識を含む注意書きが表示されています。例えばこのようです。

エスカレーターの乗り口付近の手すりに貼られた注意書き

デパートなどのエスカレーターの手すりにこのような注意書きがあってもほとんどの人はこれを読みません。位置が悪すぎます。立ち止まって読むことなど、常に人が動いているエスカレーター乗り口では許されません。別の例を次に示します。

歩道橋のエスカレーター(乗り降り口の手前)

この位置であれば読む気になれば立ち止まって読むことはできます。次の例はエスカレーターに乗ったまま読むことができる例です。

某駅のエスカレータ

多分駅員さんが作ったものでしょう。右のものは効果的だと思います。短い文章で的確に言いたいことを伝えています。

さて3枚の写真にはコンプライアンス的に問題があります。お判りでしょうか。

上の2枚は廃止された(確か2006年だったと思う)JISに規定されていた安全標識が使われています。拡大図を示します。

拡大図

ひし形にビックリマークは、現在は道路標識に使われるだけです。(なので、一般にこのマーク自体に違和感はないと思われます。)エスカレーターのような設備にはJIS Z 9101で規定された以下の一般警告標識を使わなくてはなりません。

一般警告標識

さらに、驚いたことには新旧両方の警告標識が同じ場所に危険というシグナルワードと組み合わせて使われているのです。デザイナーさんにとっては規格などどうでもいいことなのかもしれませんが、この貼り紙を提供したと思われる(一社)日本エレベーター協会には古いステッカー類については見直しをしていただきたいと思います。(老婆心ながら、ホームページで使っている禁止の安全標識は斜線の向きが逆です。一般警告標識には黒の縁取りがありません。直したほうがいいと思います。)

なお、駅のエスカレーターの横壁に貼られた注意書きに関しては左の貼り紙に問題があります。上の部分はISO 3864-2における潜在危険重大度パネルのデザインになっています。したがって赤が背景の白抜き文字でなければならないのです。右の貼り紙は問題ありません。上にも書いたように効果のある良い貼り紙だと思います。

今回はシグナルワード「危険」を使うべきか否か、説明内容が適切かについては言及しませんでした。

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