安全表記の内容(2)

今回は英語版の安全表記についてです。

英語版

以下は日本語に翻訳した内容です。実際には「本製品」の代わりに製品名が入っています。

和訳

一見対象製品固有の注意を書いているようでよさそうに思えます。対象製品は、ちょっとバラしちゃいますが、スピーカーです。使用目的を考えるとユーザーが狭い空間に設置することはあまり考えられません。もし狭いスペースに設置した場合どういうリスクがあるのでしょうか。それは書いてありません。この指示がWARNINGのトップということは重大事故の可能性があるということではないのでしょうか。私の知識ではとてもそうは思えません。そうなるとそのあとに書かれていることも重要ではないと思えてしまいます。

次の項目を見ると火災の危険を減らすためと書かれています。火災の危険があるのであればWARNINGに書かれて当然です。ところが取扱説明書を読んでも換気口(ventilation opening)がどこにあるか分かりません。ventilation openingという用語はこのページだけにしか使われていないのです。これはどういうことでしょう。ハザードの位置が示されていないのです。

実は日本語版の「使用上のご注意」には「側面の通風孔をふさぐと、内部の温度が上昇し、故障の原因となることがあります。通風孔を絶対にふさがないでください。」と書かれています。側面にある穴がventilation openingだとわかります。英語版の各部の名称のイラストには側面にventilation openingらしきものが描かれています。しかし説明はありません。日本語版のように「側面の」という言葉があれば問題はなかったのです。

さらに問題が残ります。日本語版の説明には火災の危険があるとは書いてありません。内部の温度が上昇し故障の原因となると書かれているだけです。WARNINGではなくNOTICEとすべき内容です。換気口以降の項目は一般的な注意です。連載開始時に製品識別情報が書かれているので良いといったニュアンスの文章を書きましたが、撤回します。

次回からは別の会社のマニュアルを取り上げたいと思います。対象マニュアルを決めるまですこし時間をいただきます。