令和5年5月10日、「不当景品類及び不当表示防止法(略称:景品表示法)の一部を改正する法律」が成立した。一部を除く主要部分は、1年6月を超えない範囲で施行される。
まず、現行の景品表示法についてざっと復習しよう。
この法律で一番興味を引くのは「課徴金納付命令(第8条)」である。優良誤認表示や有利誤認表示を行った事業者に課徴金の納付を命令するという条文である。課徴金の金額は対象商品・役務の売上額の3%である。対象期間は3年を上限とし、違反事業者が相当の注意を怠った者でないと認められるときは、課徴金を付加しないと規定されている。また、事業者が所定の手続きに沿って自主返金を行った場合(返金措置を実施した場合)は、課徴金を命じない又は減額することも規定されている。
今回の主な改正事項は以下のとおりである。
事業者の自主的な取組として、優良誤認表示の疑いのある表示をした事業者が是正措置計画の認定を受けたときは、措置命令、あるいは課徴金納付命令の適用を受けないこととする確約手続を導入した。また、違反行為に対する抑止力の強化として、10年以内に課徴金納付命令を受けたことがある事業者に対して、課徴金の額を1.5倍に加算する規定が新設された。同時に、優良誤認表示・有利誤認表示に対して、直罰(100万円以下の罰金)が新設された。
また、事業者の自主的な取り組みを促進するために、事業者の自主的な取組として、優良誤認表示の疑いのある表示をした事業者が是正措置計画の認定を受けたときは、措置命令、あるいは課徴金納付命令の適用を受けないこととする確約手続が導入された。
今回の改正は、近年、インターネット上のアフィリエイト広告による優良誤認表示や有利誤認表示が増えていることに対応するためだそうである。
優良誤認表示に該当するのは、商品・サービスの品質を、実際よりも優れていると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に優れているわけではないのに、あたかも優れているかのように偽って宣伝する行為である。消費者庁のホームページには次の例が記載されている。
インターネット接続サービスについて、最大通信速度が保証されていないにもかかわらず、単に「通信速度最大○○Mbps」と、通信設備の状況等によっては通信速度が低下する場合がある旨を明示せずに、あたかも常に最大通信速度でサービスの提供を受けることかできるかのように表示する場合。
また、有利誤認表示に該当するのは、商品・サービスの取引条件について、実際よりも有利であると偽って宣伝したり、競争業者が販売する商品・サービスよりも特に安いわけでもないのに、あたかも著しく安いかのように偽って宣伝する行為である。消費者庁のホームページには次の例が記載されている。
「送料無料」と強調表示した上で、「送料が無料になる配送地域は東京都内だけ」という配送条件をリンク先に表示する場合、例えば、ハイパーリンクの文字列を小さい文字で表示すれば、消費者は、当該ハイパーリンクの文字列を見落として、当該ハイパーリンクの文字列をクリックせず、当該リンク先に移動して当該配送条件についての情報を得ることができず、その結果、あたかも、配送条件がなく、どこでも配送されるかのように誤認する場合。