出張で出かけた先のビジネスホテルでの出来事。トイレのリモコンを操作しようとして戸惑ってしまった。次のようなリモコンだ。
まずどのボタンを押すかで迷ってしまった。日ごろお目にかかるリモコンとはまったく違うのだ。一番上の段は(⇓)、(快便)、(⇑)である。「快便」の機能は分からないが、ことが終わった後に押すボタンではなさそうだ。矢印の意味も分からない。順番に見ていくと、3段目の(洗浄/ムーブ)が該当しそうだと思ったが、いつも見慣れているものとは異なるので若干の不安感を持ちながら操作した。結果は正解だったのだが、これはブログに書こうと思った。
日本国内の温水洗浄便座のシェア上位3社のリモコンは以下のとおりである。(順不同)
最初に目に入るボタンは3社ともに同じである。C社は「おしり」と「ビデ」の間に「やわらか」が入るが、基本は同じと考えてよい。これが重要である。3社でシェアのほぼ9割を押さえている。ユーザーのほとんどは「止」。「おしり」、「ビデ」になじんでいると考えてよい。シェアが小さいとはいえ異なるボタン配置と図記号を使うのはユーザーに対する配慮がないと言えよう。さらに図記号は3社ともにJIS S0103:2018に規定する図記号を使っている。これらは「乾燥」を除けばISO 7000にも登録されている図記号である。
さて、ホテルのリモコンであるが、JISやISOは眼中にないらしい。こんな製品を一般ユーザーに広げてほしくはない。ホテルに導入されたのはコストの問題と想像できるが、担当者もリモコンボタンのデザイン統一には気が付かなかったのであろう。サービス面でマイナスである。また、JIS S0103に準拠していないということは、JIS S 0012:2018「消費生活用製品のアクセシビリティ一般要求事項」にも準拠していないことになる。
トイレの業界ではボタンや機能の名称統一が進んではいるが、製品分野によってはメーカー間で全く統一が取れていない。ユーザー無視で開発技術者のプライドを守るための名称が幅を利かせている。これは業界団体が解決すべき問題である。
おまけ
通勤電車の中で強烈なインパクトを与える中吊り広告を見つけた。
「毛をはやす機能を壊します」って「毛根を破壊します」より強烈だ。体に悪い影響はないのかと私は考えてしまった。医療行為の宣伝にこの表現は「どういう感性の持ち主が作ったコピーだ!」と思うと同時に「いいのかな?」とも考えさせられる。