安全情報に関してとても日本で作ったとは思えないマニュアルを見つけました。某ロボット掃除機のマニュアルです。日本語と英語は同じレイアウトで作られています。
まずは英語版のシグナルワードの説明がこれ
次は対応する日本語版
CAUTIONが危険と訳されています。必然的に本文は次のようになります。
“危険”はほぼ確実に死ぬレベルのハザードを示すときにしか使いません。ANSI 535.6にはめったなことで使うなと書かれています(正確にはThis signal word is to be limited to the most extreme situation.)。とても日本人が制作したとは思えません。そこで以前のマニュアルを探してみました。なんと2020年に作られた別モデルの日本語版のマニュアルはシグナルワードの説明が正しいだけでなく、安全情報は日本独自に作られていたのです。
日本語版の1ページ目は家製協のガイドラインに従って作られたようです。問題はないのですが好きにはなれません。2ページ目はブロック単位で見出しが付けられており読みやすく出来上がっています。
これはどういううことなのか、勝手に想像してみました。2020年までは明らかに日本の制作会社が絡んでいると思われます。家製協のガイドラインに従って日本語版の安全情報を英語版とは別に作っていました。ところがコストがばかにならない。そこで日本以外の国で日本語がわかる現地スタッフ(もしかすると機械)が翻訳した日本語を英語版と同じテンプレートに流し込み、日本法人の国際規格に詳しくない日本人スタッフが日本語をそれらしく修正し、さらに日本独自に必要と思われる項目を追加した。というところではないでしょうか。あくまで勝手な想像です。
それにしてもCAUTIONが危険とはネ。辞書には載っていない。NOTICEの訳語が注意というのは辞書に載っているのでまだましです。しかし、ANSI Z535.6-2011(R2017)には訳語としてCAUTIONの日本語訳が注意、NOTICEの日本語訳が注記としてANNEX B(Informative)に記載されていることは知らなかったのでしょう。